FundRef(ファンドレフ)とは
FundRef(ファンドレフ)とは(http://search.crossref.org/fundref)Crossref(http://crossref.org/)が提供している特定機関の助成研究論文を容易に特定することができる、助成金に関する情報収集・公開をするシステムです。
このシステムは学術出版社や助成機関と連携して2012年3月からパイロットプロジェクトを開始し、2013年2月までの一年間を経て、2013年5月に正式にサービスを開始いたしました。
FundRefのシステムが開始される以前は助成金提供の情報は書誌情報の中に含まれておらず、研究費を助成する団体が「研究成果(研究論文)と資金提供情報(助成金)」を結び付けることはほぼ不可能でした。FundRefはこのような問題を解決することを目指し、開発されたシステムです。
現在ではFundRefのシステムによって、助成している団体と出版社、研究者を容易に結びつけることができ、研究開発費を投資対した効果をより明確に把握、公開することができるようになっております。
さらには、このシステムでは資金に関する様々な関係先に下記のようなことを提供しています。
1.助成団体(資金提供組織):「助成金方針」の結果についての把握を可能にする。
2.著者 :資金調達に関する方法を簡便化する。
3.研究機関:研究員(従業員)の生産性を把握できる。
4.出版社 :出版物の資金源の確認できる。
5.読者と一般の方々:研究開発資金の結果について透明性を提供できる。
まだ特定の助成団体情報のみとなっており、検索データ量は限定的ですがORCIDのシステムでログインすることも可能です。
FundRef での活用例
例えば、
1.研究者固有のIDのORCIDを持っている研究者が、
2.FundRefに参加している資金提供団体から資金提供を受け、
3.その研究資金で新しい技術についての研究論文を執筆する。
4.その論文を学会誌で発表したことで、その論文固有のIDであるDOIが付与される。
上記のような「資金提供から研究助成論文発行」までの流れについて、FundRefでは
1.どの研究者(ORCID)が
2.どのような資金提供先/助成内容(FundRef)で
3.どのような論文(DOI)発表したかを
容易に結び付けることができ、なおかつORCIDやDOIなど固有のIDを持つサービスと連携することで、誰が、どのような助成資金で何を発表したのかを特定し、その資金について透明性を高めることができます。
FundRef のワークフロー
FundRefに研究助成情報が登録され、他の書誌情報とリンクするまでの流れは
以下のようになります:
- FundRefレジストリ(FundRefが持つ情報データベース)より、助成機関の名称を提供。
- 出版社または投稿追跡システムのベンダーは、投稿システムにFundRefレジストリを組み込む。著者はリストから助成機関を選択し、投稿と同時に助成番号が付与される。
出版社は、助成機関の名前をFundRefレジストリと一致させる(修正する)。---審査が終了し、出版工程へ---
- 助成情報は、出版社の制作システムに転送される。
- 出版社は、保存される書誌情報の一部として助成情報(助成機関名、助成機関ID、助成番号)をCrossRefに送信する。
- 助成機関等はCrossRef(CrossRef内のFundRef検索や検索APIを利用)を照会し、その助成に起因するDOIや記事の書誌情報を受け取る。
※CrossMarkもFundRefと連携し、助成情報を表示しています。
参考
- FundRef ⇒https://www.crossref.org/services/funder-registry/
- FundRef検索ページ ⇒http://search.crossref.org/fundref