学術情報を発信するニュースレター J×J Supporters
「J×J supporters Newsletter」はレタープレス株式会社が発行する「学術情報」発信に関するNewsletterです。
[No.22]
(2019年7月31日発行)
査読をサポートするツール[Publons]とは?- Academic Information -
Publonsとは、査読業務をサポートするためのWEBサービスで、学術雑誌における個人の査読・編集活動を追跡したり、検証、記録することができるサービスです。
Publonsは2012年に開始され、2019年現在170万人を超える研究者が参加しています。25,000本を超えるジャーナルにわたり、150万件を超えるレビューが追加されています。Publonsの使命は、「査読の力を利用して科学をスピードアップする」とされ、これは査読を測定可能な研究成果に変えることによって、研究者は査読という形で公開した見解および考えを、自身の研究分野の影響の証拠として使用できるからとされています。
PublonsのWEBサービスでは、研究者個人の査読・編集活動について、実績として検証済みの記録を登録することができます。ユーザーは、WEBサイト上で査読活動のプロフィールを紹介し、資金調達、求職応募、昇進および業績評価を目的にダウンロードすることもできます。このような自身のプロフィール作成以外に、主な機能を挙げると
・出版社が最適な査読者を見つけ、連絡することができる機能
・世界規模で、査読業務に関するデータの蓄積
・若手研究者のために査読の解説や、研究について議論・評価できる機能
などです。
また、査読者は、出版後に査読内容をオープンアクセスにするかどうかを選択できます(ただし、ジャーナルの出版側の設定が優先されます)。2019年現在、Publonsでは大手出版社とのパートナーシップを締結したり、オルトメトリクス、ORCIDなどのサービスとも連携し、より多くの査読活動や編集活動を集め、測定可能な研究成果とすることを進めています。
(参考)
Publons, https://publons.com/(参照日:2019.07.01)学術審査に関する編集事務をサポートいたします!03-5817-8617受付時間 9:00-18:00 [ 土日祝日除く ]
セミナー参加でのお役立ち情報- Supporter's Activity -
2019年5月28日(火)Japan Open Science Summit 2019(JOSS2019)「企業・NPOが参加するオープンサイエンスのこれまでとこれから2019年版」に参加してまいりました。
◆ 講演「オープンサイエンスの実現・推進について」
オープンサイエンス推進のためには、大学や公的機関のみではなく、企業・NPO・市民など様々な組織・個人の協力が不可欠です。
しかしながら、オープンサイエンスに関する議論は学術機関が中心であり、各々の活動内容・組織構成・行動原理が大きく異なる企業やNPOなどが参加した議論は未成熟のようです。本セッションでは、オープンサイエンス推進のために果たすべき役割について、様々な立場から議論が行われました。◆研究データ利活用の事例紹介
・能美市九谷焼資料館 九谷焼のオープンデータ(アイパブリッシング株式会社様)
絵柄データを公開し、アート作品やプロジェクションマッピングなどに利用
・ぶんかつ(独立行政法人国立文化財機構 文化財活用センター様)
オープンな文化財利用。複製の製作デジタルコンテンツの開発・公開
・学術系クラウドファンディングサイト「academist(アカデミスト)」(アカデミスト株式会社様)
研究費獲得のためのクラウドファンディングサービスいずれもデータ公開の取り組みをもっと広げたい、データの利活用者が増えてほしい、という目的のための画期的な利活用例でした。
◆パネル討論
画期的な利活用例が紹介されましたが、いくつかの問題点もあるようです。データ提供者は利用者がどんなデータが欲しいのか、データの利用目的が分からない。データ利用者はデータの活用例や、データの背景が分からないと利用しづらい、などの声が挙がりました。
後半では、オープンサイエンスのための資金獲得にも触れられました。科研費は研究発表後の情報公開には用いられず閉鎖的なもの。一方で、利活用例に挙げられたクラウドファンディングは、研究発表後の支援者とのコミュニケーションツールとしても活用できるなどのお話がありました。
データ提供者と利用者との間で、コミュニケーションや情報交換ができるプラットフォームが増えれば、利活用例が開示され、データ公開も活性化されていくのでしょうか。今後もこのように様々な立場の間で、オープンサイエンスについて共有する場が作られていくことを期待いたします。オープンアクセスからオープンサイエンスへ、そしてオープンイノベーションについて、これからも弊社ではシンポジウムやセミナーで情報を集め皆様に共有してまいります。
ジャーナルの電子化についてもご相談ください!!03-5817-8617受付時間 9:00-18:00 [ 土日祝日除く ]
相談解決事例 - Supporter's Skill -
今回のご相談 :『要旨集・抄録集をJ-STAGEに登載したい!』
今回のSupporter's Skillのテーマは、要旨集のJ-STAGE登載業務についてです。
現在、論文誌をJ-STAGEで公開されている学協会様におかれましても、要旨集・抄録集のJ-STAGE登載については、演題毎ではなく、複数演題をまとめて登載なさっていたり、業者さんから出てきた見積もりが高額だったために、J-STAGEへの登載自体を諦めておられる場合がございませんでしょうか。
この原因は、ひとえに要旨集の特徴である掲載演題数の多さにあります。J-STAGEへの登載には、データ作成にあたり論文の長短ではなく、1報あたりで基本時間がかかります。その基本時間は、通常の作業では短縮することが難しく、【原著論文1報】と【要旨1演題】でも、作業時間は同等になる場合がございました。そのため、1冊10報掲載の学会誌と、1冊300演題の要旨集では、手間・費用共に、大変大きな差が生じていました。これまでは、当社でも要旨集のJ-STAGE登載のご要望を頂いた際には、日程・会場等でグループ分けをし、登載本数をできるだけ少なくするご提案をしておりました。しかし、そのご提案の中でネックになるのは、上記の方法では演題毎のDOIが取得できないことです。この点については、担当営業としても大変心苦しい提案となっておりました。
お客様のご要望と、弊社営業からの意見を受け、弊社のシステム担当者が上記の問題を解決すべく検討を重ねました。その結果、弊社では通常の論文公開用のフローから引用文献の編集手順を切り分け、手間・費用を可能な限り抑えた、要旨集用のJ-STAGE登載フローを構築することができました。
これまでJ-STAGEでの要旨集公開を諦めておられたり、不本意な形で登載しておられた学協会様におかれましては、是非一度当社までご相談ください。
J-STAGE登載業務についてもご相談ください!!03-5817-8617受付時間 9:00-18:00 [ 土日祝日除く ]
当社のSpecialist -Episode 8-
メディア&ソリューション事業部 主任 金澤 千里
【学協会様の広報を担うWEBサイト制作のスペシャリスト】
公式サイトはもちろんのこと学術大会サイト、電子ジャーナルサイトなど学協会様に関連するWEBサイトで数多くの制作実績があり、業務範囲もサイト設計・デザイン・コーディングと広範囲をカバーしています。【インタビュー】
- WEB制作でやりがいを感じるのはどんなときですか?
- WEB制作でやりがいを感じるのは「喜んでもらえたとき」と「アイデアが形になったとき」です。
リニューアル案件の場合多いのが「作ってから何年も経つので見た目が古い」「情報が整理されておらず使いづらい」といったご意見です。WEBの世界のトレンドは目まぐるしく変化していきます。同時に新しい技術も多く生まれます。
ただ、最新のトレンドをそのまま取り入れても、学会様や医療関係者様のサイトでの問題解決にはなりません。お客様のサイトそれぞれが抱える問題を「どうやったら解決できるか」を考えることが重要です。
新しい技術と既存の技術のピースをどう組み合わせようか、トレンド要素をどれくらい入れようか、いろんな方法を模索しながら問題解決のためのアイデアをカタチにするのがパズルみたいで面白いんです。真っ白なパズルを一枚の絵に完成させることにやりがいを感じます。そして完成したサイトを「喜んでもらえたとき」は私自身もとても嬉しいですね。
新米サポーターより - 編集後記 -
こんにちは、二代目新米サポーターです。前号で予告いたしましたが、今号を以て二代目新米サポーターを卒業することになりました。長年このコーナーでお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
「新米サポーター」は引き継ぎますが、東京営業所一丸となって、皆様のお役に立つよう学術情報を引き続き皆様にお届けしてまいります。三代目新米サポーターはどんなキャラクターなのか次号乞うご期待!