学術情報を発信するニュースレター J×J Supporters
「J×J supporters Newsletter」はレタープレス株式会社が発行する「学術情報」発信に関するNewsletterです。
[No.17]
(2018年3月31日発行)
Emerging Sources Citation Index(ESCI)とは?- Academic Information -
今回のAcademic Informationでは、Emerging Sources Citation Index(ESCI)をご紹介いたします。ESCIは、2015年にClarivate Analytics社の引用索引データベース「Web of Science Core Collection」に新たに導入された引用索引ファイルです。これまで「Web of Science Core Collection」では自然科学分野を対象とする「Science Citation Index Expand(SCI-E)」や人文社会分野を対象とする「Social Science Citation Index(SSCI)」といった、一定の基準を満たすジャーナルのみを収載する引用索引ファイルを発展させてきました。これらに収載されたジャーナルは、インパクトファクターの付与対象になります。一方でESCIは、インパクトファクターの付与対象にはなりませんが、上記の引用索引ファイルがカバーしない「特定の地域や分野において学術コミュニティーで認知されている、今後さらなる存在感が期待されるジャーナル」を収録します。
ESCIは、SCI-EやSSCIの数ある収載基準のうち「論文が査読を経て掲載されていること」、「独自性があり、学術コミュニティーの関心を反映していること」、「抄録・文献等の書誌事項が英語で提供できること」、「コンテンツが電子的に入手可能であること(XML、PDF等)」、「出版倫理の基準に則っていること」を満たせば収載されます。上記の基準を満たしてESCIに収載された後に、従来の引用検索ファイルの収載のための審査を受け、SCI-EやSSCIに収載されることも可能です。ESCIでは被引用数を確認できるようになりますので、インパクトファクター取得に向けて、状況を把握しやすくなります。
まずはESCIに収載され、将来的にSCI-EやSSCIへの収載を目指すという道筋も考えられそうです。(参考)
安藤 聡子、澤 綾子、エドモンズ マチルダ、「新引用索引ファイルEmerging Sources Citation Index(ESCI)の概要:Web of Science Core Collectionのジャーナル収録の強化と最新収録基準」、『情報管理』60 巻 (2017) 7 号 pp. 502-511 https://doi.org/10.1241/johokanri.60.502
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セミナー参加でのお役立ち情報- Supporter's Activity -
「学術出版の今後を考える - シリーズ学術出版を学ぶ(15)」
2018年2月16日(金)UniBio Press様主催のセミナー「学術出版の今後を考える - シリーズ学術出版を学ぶ(15)」に参加してまいりました。
国立情報学研究所オープンサイエンス基盤研究センターの尾城孝一様にご講演いただきました。Open Access(以下OA)の現状、OA2020をめぐる動向、プレプリントサーバの拡がり、研究データと商業出版社、出版からワークフロービジネスへ、OAを超えて、というテーマで最新の調査結果(論文)や海外での事例を用いて、お話ししていただきました。
【世界のOA化の調査結果】
最新の調査結果では、世界の論文の約28%がOAで、OA論文の比率は年々高くなっており、OA論文の被引用率は平均よりも18%ほど高いそうです。また利用者側の約47%がOA論文を探しています。
商業出版社へ支払う購読料が上昇を続けるなか、こうしたOA論文に関する調査結果を切り札に、図書館員としては出版社と価格交渉ができるのでは?という助言もあります。
【OA化と新しい出版モデル】
ドイツやオランダでは、大手商業出版社と、APCと購読料をセットで契約するモデルでの価格交渉を行うなど、従来の購読料モデルでもない、さらにAPCモデルでもない、複合的な契約モデルの動きが出てきているそうです。またヨーロッパでは、商業出版社の学術誌出版システムから完全に独立した、オープンアクセス出版流通プラットフォームにも注目が集まっています。
ご講演の後には、質疑応答や参加者の意見交換の場も設けられました。今後OA化がますます進むなかで、学会や学術コミュニティの役割とは?といった質問に対する意見交換なども活発に行われ、大変有意義な時間でした。
OAやジャーナルの電子化もご相談ください!!03-5817-8617受付時間 9:00-18:00 [ 土日祝日除く ]
相談解決事例 - Supporter's Skill -
今回のご相談 :『ジャーナル発行フローの見える化・効率化』
JJSの発行に併せて、今回でSupporter's Skillも17回目となります。過去16回の中でジャーナル発行以外の業務についても多くご案内してまいりましたが、今回は初心に戻りジャーナル発行の効率化についてご案内させて頂きたいと思います。
年度末を迎えるこの時期、学協会様におかれましては、役員の交代や、編集委員会の引継ぎ等、普段行っている業務を改めて先生方にお伝えする機会も多いかと思います。その際に、学協会様ごとにマニュアルや申し送り資料等あるかと思いますが、Word等で作られた箇条書きや、文章での資料等では、なかなか作業の流れを伝えるのが難しかったというご経験はございませんでしょうか。
そんな時には、『原稿の流れを軸にした業務フロー図』の作成をお勧めいたします。誰が何の作業をするのか、ご執筆者様を出発点に、原稿の流れを俯瞰して図にすることで、初めて編集委員をなさる先生にも作業の流れや、どこで時間が掛かるのかなど分かりやすくお伝え頂けるかと思います。
弊社ではご提案させて頂く際にヒアリングの上、業務フロー図を作ることで、どこからどこまでがお見積りの範囲内に含まれるのかご案内させて頂いたり、今後ご提案が可能な改善フローも併せてご案内させて頂いております。引き継ぎ資料の作成や、資料の見直しの際に、上記だけでもお手伝いさせて頂きますので、是非お問い合わせください。
学会誌制作フローの効率化もご相談ください!!03-5817-8617受付時間 9:00-18:00 [ 土日祝日除く ]
メディア&ソリューション事業部 コミュニケーションデザイングループ 主任 竹西 康幸
ブランディングの視点からデザインを生み出す制作のスペシャリスト。
ブランドマネージャー1級という資格を生かし、お客様のもつ課題をデザインで解決するご提案をいたします。【インタビュー】
- ブランディングとは何ですか?また、デザインにどのように活かされますか?
- ブランディングとは、「顧客の視点から発想し、ブランドに対する共感や信頼など顧客にとっての価値を高めていく手法」のことです。
ブランディングの視点から、お客様の趣向や世間の常識、流行だけではなく、お客様がその製品を作成する目的や背景、その製品を見る人の気持ちや見た後の行動などを考慮し、デザインに反映していきます。そして、そのデザインからは単に見た目の良さだけではなく、情緒的あるいは機能的な価値が見出され、より伝えたいメッセージを表現できます。学術関連の案件としては、学術大会のポスター・チラシやWEBサイトのデザイン、学術雑誌の表紙等のデザインをよく手掛けています。今後もブランディングの知識と技術を活かし、デザインを通じてお客様の課題解決のお役に立てればと思っています。
新米 サポーターより - 編集後記 -
編集後記を執筆している3月現在、風のやわらかさに春の訪れを感じております。なんだかむず痒くなるのは、花粉のせいなのか、はたまた出会いと別れの季節だからなのか。
今号は、そんな季節に合わせて、引き継ぎ等をよりスムーズにできるよう「ジャーナル発行フローの見える化・効率化」と、学協会様の新しい取り組みへのお手伝いとして「ブランディングとデザイン」、「ESCI収載」のご紹介をいたしました。既存業務の効率化と、新しい取り組みへのサポートとして、お役に立てればと思います。
年度が変わりましても、変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします。