学術情報を発信するニュースレター J×J Supporters

「J×J supporters Newsletter」はレタープレス株式会社が発行する「学術情報」発信に関するNewsletterです。

[No.9]
(2016年3月25日発行)

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オープンアクセスからオープンサイエンスへ- Academic Information -

前回まではオープンアクセス(OA)に関する、APCGold OA・Green OA、さらにはOAメガジャーナルについて解説させていただきました。
今回はOAを含めた、オープンサイエンスについてご紹介させていただきます。

オープンサイエンスとは

情報のオープン化を推進しているOpen Knowledge foundationによれば、オープンの定義として、知識(コンテンツ・データ・情報を含む)の自由な利用・再利用、再頒布、さらには技術的制約の排除(仕様を公開し、なおかつ料金や利用についての制限を課さない)などが挙げられています。
オープンサイエンスでのオープンという意味は、前号までに紹介したアクセスのオープン化のほか、データ・ソース(ソフトウェア・ハードウェア)・方法論・ピアレビュー・教育資源が含まれます。
上記のことを踏まえると、オープンサイエンスではこのようなデータやソースなどの知識・情報について、制限を課さない自由な利用・再利用を可能にします。

世界中でオープンサイエンスが広がるなか、様々な議論も多く交わされています。今回は賛成・反対に大別していくつか例を紹介します。

説明するLP博士

    〇 賛成

  • 研究レポートやデータへのオープンなアクセスは、より多くの議論を加速させる
  • 公的期間から助成されたすべての研究結果は、公表されるべきである
  • オープン化により、結果の再現性を高めることができる
    △ 反対(さらなる議論が必要)

  • 未整理の大量の情報の中から、信頼できるものを選びとる必要がある
  • あらゆる情報がオープンになるため、悪意を持った人間によって悪用される心配がある
  • データの解釈に誤解が生じたまま、大衆に広がる可能性がある
  • 規模の拡大により、検証が難しくなる(データの報告数が増えるほど検証に時間がかかる)
参考(参照:2016.3.1)

 

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セミナー参加でのお役立ち情報 - Supporter's Activity -

ISMTE Tokyo ローカルグループ 第2回ローカルグループミーティング

ISMTE(International Society of Managing & Technical Editors)のTokyo ローカルグループミーティング第2回は、iGroup Japan 様と、エルピクセル株式会社様より、不正論文を防ぐ方法をご紹介いただきました。

まず一つ目が、剽窃などの不正について。
次に二つ目が、画像不正の検出システム(サービス)について。
テキストと画像に関する不正チェックの二本立てでした。

テキスト(文章)の検証

まず、テキストの不正については、iGroup Japan様より、CrossRef/Similarity Check(旧CrossCheck)とiThenticateについてご紹介いただきました。
Similarity Check(旧CrossCheck)とは、テキストを分析し、比較するサービスです。コンテンツのテキストデータベースより、テキストをチェックしてくれます。

ただし、ここで注意しなければならないのが、剽窃を防止するシステムではないということ。
剽窃であるかどうかは、システムではなく、人がそのテキストの文脈も踏まえて判断しなくてはなりません。Similarity Check(旧CrossCheck)は、あくまでも、そうした人の判断を手助けしてくれるものなのです。

画像の検証

人工知能を用いた研究画像不正検査サービス LP-exam Cloudを提供しているエルピクセル株式会社様からは、画像不正を防止するためには、倫理的な面と、教育的な面でのサポートが必要であるというお話をしていただきました。
まず、研究に携わる方たちにアンケートを取ったところ、画像処理の必要性はあると感じていながらも、大学や研究機関で、画像処理の教育を受ける機会がないのが現状であることがわかりました。
画像の不正を防ぐためには、不正を検出するシステムと、研究者の方々が正しく画像処理を行えるような環境が必要となっています。
不正検出システムの開発とともに、全国の大学や研究機関で、適切な画像処理の必要性を講演なさっているそうです。
これから、学会様での講演も増えるということで、ますます大注目です。

 

ISMTEとは:
編集実務者のための国際編集者会議。ニュースレターやミーティング、ディスカッションフォーラム等のサービスを通して学術・科学編集関係者のネットワーク形成を担っている。
日本では、2015年11月より東京ローカルグループが活動している。

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相談解決事例 - Supporter's Skill -

今回のご相談 : 学会のイメージに併せたホームページを作りたい!

弊社では『学協会様の良きパートナー』でありたいという思いから、印刷物に限らず、力の及ぶ限り寄り添ったサービスをご提案しております。
その中で最近ご提案させて頂く機会が増えて来たのが、学協会様のホームページや、学術大会のホームページです。

これまでの学会様のホームページは、先生がご多忙の中で制作からなさったり、WEB制作会社で作成したホームページを事務局様で少しずつ更新したりと、制作・修正や管理等でご負担の大きい業務になっていたかと思います。しかし、論文誌の電子化や大会運営において、ますますホームページの担う役割は大きくなっております。

弊社にも「学会にとって使い勝手の良いホームページ」・「ジャーナルを広報する為のホームページ」・「ポスターのように目を引く学術大会のホームページ」などの、ホームページ作成のご要望を頂くことが増えておりました。

これまで組版やデザインのノウハウはあっても、ホームページ作成については実績のなかった弊社でしたが、『学協会様の良きパートナーでありたい』という弊社の目標とお客様のお声から、WEB制作担当者を増員し、学会様のイメージ・使い勝手に併せたホームページをご提案出来るようになりました。

WEB上での学協会・論文誌広報や、会員様とのコミュニケーションの増進、学術大会の事前準備から当日の運用まで、これからもご提案の幅を広げてまいりたいと思います。

学会誌PRサイト制作については当社にご相談ください!!03-6261-2707受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]

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学術と共に歩んだ120年。レタープレス株式会社の歴史物語 No.9
―オープンアクセスとの出会い

当時受けた、セミナーでは現在では急速に広がりつつある「オープンアクセス」の話が非常に印象に残っている。

オープンアクセスとは学術雑誌に掲載されている論文全文を、インターネット上で無償にてアクセスできるようにしていることを指す。
学術雑誌市場が一部の大手出版社により独占され、価格が年々高騰し、そのため大学図書館や研究機関などで雑誌購入、購読がしづらくなったための施策である。

紙媒体ではなく電子媒体である「電子ジャーナル」が普及し、しかも無料で閲覧できるということは、印刷会社にとって決して良い状況とは言い難い。死活問題でもある。
オープンアクセスに感銘を受けるLP社長
しかし達朗は「オープンアクセス」の考え方に非常に共感を覚えた。

 オープンアクセスが広まり、自由に論文を閲覧できることにより
「学びたいと思う人が学びやすい社会になる__。」
「学ばれ導き出された研究成果がいずれ社会に大きく貢献するかもしれない__。」

 将来、深く携わりたいとこの頃から率先して勉強し、社内外問わず情報を発信し続けた。

 セミナーに積極的に参加し学術分野の最新情報に精通するようになると、新規開拓活動をする際の話題が増えた。
 自社の話一辺倒だと中々、耳を傾けてくれないが、セミナーで仕入れた話をすると興味深く聞いてくれる学会の事務局員さんも出てきた。
 事務局員さんと話す機会が増えると「学協会」の実情が少しずつ判ってきた。

 

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新米 サポーターより - 編集後記 -

新人サポーター

何号かに渡り、巻頭の「Academic Information」でオープンアクセスについてご紹介してまいりましたが、ついに、今号の「歴史物語」でも、現社長がオープンアクセスに出会います。

オープンアクセスに出会った当時、その考え方に共感を持った社長ですが、それは弊社の経営理念にもあらわれています。

「私たちは『作る人は同時に使う人でもある』ということを忘れずに、伝えたいこと、知りたいことをもっと分かり易く、学びたい人がもっと学び易い、社会の実現に向けて努力します。」

という経営理念に基づき、これからも学協会様のお力になれるよう、努力してまいります!