h-index(h指数/h指標)とは?

h-index(h指数=h指標とも言います)とは2005年の「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」にて物理学者のJ. E. Hirsch氏が発表した「個々の科学研究成果を定量化する指標」(DOI:10.1073/pnas.0507655102であり、さまざまな「研究者の研究成果を定量化する指標」のひとつとして利用されています。

h-indexの意味

ある研究者のh-indexが10(h=10)の場合、

その研究者が今まで発表した論文の中で被引用数(引用された数)が10以上ある論文が少なくとも10本以上ある

という意味であり、一般的にはh-indexの数値が高いほど、その研究者は「たくさんの論文に引用されるような論文を、数多く執筆している」ということになります。

h-indexの調べ方【h-index(h指数)の計算方法】

h-indexの計算方法(h指数の計算方法)は下記のような手順で計算します。

  • 自身が発表した論文を被引用数が多い順に並べ替えします。

※h-indexを計算する場合の被引用数は自身の論文を引用している(ジャーナル・セルフ・サイテーション:Journal Self-Citation )の数は除いて算出する場合もあります。

  • そのランキングの数値と被引用数を比較し、ランキングの数値が被引用数より大きくなった時の順位(被引用数順位 > 被引用数)がh-index(h指数)となります。

例:) 研究者 A、B、Cの被引用文献数と被引用数のランキング

被引用数順位
(ランキング)
研究者の被引用数
研究者A (執筆数15本) 研究者B (執筆数14本) 研究者C (執筆数11本)
1 20 43 20
2 19 29 8
3 16 29 8
4 14 28 5
5 12 25 3
6 11 18 3
7 9 18 3
8 6 17 2
9 6 15 1
10 5 15 0
11 3 14 0
12 2 12 -
13 1 2 -
14 0 1 -
15 0 - -
h指数 (h= ) 7 12 4

上記表より例えば、研究者Aの被引用数順位が被引用数より大きくなった順位は(被引用数順位 > 被引用数)7となり、h-index=7となります。このh-indexから「研究者Aは他の論文から7回以上引用されている論文を少なくとも7本以上執筆している」という事が分かります。

 

被引用数の調べ方(被引用数の調査方法)

h-indexは論文の被引用数から算出されているため、まずは自身の被引用数を正確に調査することが必要です。h-indexを提唱している「個々の科学研究成果を定量化する指標」(DOI:10.1073/pnas.0507655102)の論文では「Web of Science」で被引用数を調査しh-indexを算出しています。
また、エルゼビア社の抄録・引用文献データベース「Scopus」では、1996年以降*の被引用数を用いてh-indexを算出しています。その他「Google Scholar」では過去5年間(2009-2013)*の論文を対象にh-indexの値を算出しています。
* 2014年12月現在

h-indexでの懸念事項

h-indexは自身の執筆している論文のランキングと被引用数からだけで算出されるため、いくつかの懸念事項も指摘されています。

  • 被引用数からh-indexが算出されているため、自身が執筆した全論文の被引用数を正確に把握する必要がある。被引用数の数値が正しくない場合はh-indexも正確ではない。
  • 過去に発行された学術誌の方が、新しいものより引用数が多い傾向にある。
  • 多数の共著者がいる場合を考慮する必要がある(多数の共著者がいる論文のh-indexが高い場合、1人1人の著者が過大に評価されることも考えられる)。
  • 分野によっては引用数が少ないことなど、分野を超えた指標とはならない

このような懸念から、h-indexはあくまでも「研究成果を定量化する指標」のひとつとして利用されています。

「学術誌の」h-indexとは?

h-indexは「研究者の研究成果を定量化する指標のひとつ」だけでなく、「学術誌を評価する指標のひとつ」として利用される場合もあります。

このような学術誌のh-indexを調べる方法は

  1. 学術誌に掲載している全論文の被引用数を調査する。
  2. 被引用数が多い論文順に並べ替えをする。
  3. ランキングの数値と被引用数を比較し、ランキングの数値が被引用数より大きくなった時の順位(被引用数順位 > 被引用数)が学術誌のh-index(h指数)となる。

例えば

学術誌のh-indexが10であれば、その学術誌は他の学術誌から10回以上引用されている論文が10本以上掲載されている学術誌ということになります。

この学術誌h-indexから分かることはh-indexの数値が高いほど、その学術誌は多くの論文に引用されている学術誌ということとなります。

ただし、被引用数が過去に発行された学術誌に偏る傾向もあるため、学術誌のh-indexを計算する場合は、直近の5年(h5-index)や、直近の10年(h10-index)として計算する場合もあります。

このような学術誌のh-indexはGoogle Scholar上で「Google Scholar Metrics」として掲載されており、被引用数をGoogle Scholarで算出しているため、日本語も含めた国内の学術誌ランキングを確認することも可能です。

参考
http://www.pnas.org/content/102/46/16569
・Google Scholarサイト⇒http://scholar.google.co.jp/
・Google Scholar Metricsサイト⇒http://scholar.google.co.jp/citations?view_op=top_venues&hl=en&vq=ja
・Scopusサイト⇒http://www.scopus.com/
・Web of Scienceサイト⇒http://clarivate.com/?product=web-of-science