学術情報を発信するニュースレター J×J Supporters

「J×J supporters Newsletter」はレタープレス株式会社が発行する「学術情報」発信に関するNewsletterです。

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[No.4]
(2014年11月25日発行)


CrossRefとは?- Academic Information -

今回のAcademic Informationは前号No.3でご紹介したDOI(学術論文記事等に付与する固有の識別子)を登録する組織であり、さらには学術情報流通に関する様々なサービスを提供しているCrossRef(クロスレフ)という機関についてご紹介させていただきます。

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CrossRefが提供する主なサービス

CrossRef(http://www.crossref.org/)とは2000年に設立された非営利組織で、世界で初めてDOIを登録した機関です。現在ではDOIを登録することができる世界の10の機関(Registration Agency)のひとつでもあります。

DOIはCrossRefの会員であれば登録することができ、現在、出版会社や図書館などの会員から学術論文記事など様々な学術コンテンツが登録されています。この登録数は2014年10月現在約7,000万となっております。

CrossRefの主な業務のひとつに、この登録された記事同士のDOIをリンクさせ引用文献の一次情報同士をリンクできるシステムを提供しております。

またCrossRefは、学術情報流通に関する下記のような様々なサービスも提供しております。

提供するサービス名サービスの概要
CrossRef引用文献のリンク情報を提供するサービス
CrossMark論文の更新状況(改版履歴)を確認することができるサービス
Similarity Check(旧CrossCheck)剽窃論文等を発見するためのサービス
FundRef助成金に関する情報収集・公開をするサービス
CrossRef Text and Data MiningDOIを付与されたコンテンツについて、フルテキストにアクセスできるCrossRef APIを提供するサービス

■参考

  • crossref.org: From the Executive Director,(参照2014.11.1)
  • 土屋 江里, 余頃 祐介 : 2013年CrossRef年次総会,情報管理,56, 881-884(2013)
  • crossref.org: crossRef WEBサイト,(参照2014.11.1)
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セミナー参加でのお役立ち情報 - Supporter's Activity -

株式会社 杏林舎様 トムソン・ロイター様 主催
ScholarOne ManuscriptsTM ユーザーカンファレンス

今回は、投稿・査読管理システム「ScholarOne ManuscriptsTM」の日本代理店である株式会社杏林舎様と、製造元であるトムソン・ロイター様主催のScholarOne ManuscriptsTM ユーザーカンファレンス2014に参加してまいりました。

内容は大きく分けて

【ScholarOne ManuscriptsTM 製品・新機能紹介】・
【特別講演「不正論文をなくするために」】・
【ユーザープレゼンテーション】

の3部構成となっており、全体を通して、「Authorship」・「不正論文への対策」と言う、タイムリーなキーワードに絡んだ内容となっておりました。

【ScholarOne ManuscriptsTM 製品・新機能紹介】では、新機能「e-form」を使うことで、共著者からの著作権譲渡・利益相反等の書類提出を、最小限の負担で確実に集める方法のご提案を頂きました。これは昨今話題になった、論文に対する共著者のスタンスを明確にするという事への、一助になるのではと思いました。

【特別講演「不正論文をなくするために」】では、東西さまざまな不正論文の過去事例や、日本における不正論文の特徴、不正論文をなくす為の取り組みをお話頂きました。さまざまな事例を絡めて、ざっくばらんにご意見をお聞かせ頂き、1時間があっという間に過ぎる程、興味深くお話を伺う事が出来ました。

【ユーザープレゼンテーション】では、ご利用の学協会様より、ScholarOne ManuscriptsTM運用の運用方法とそのなかで起こりえる問題点と、その解決方法をお話頂きました。中でも不正論文の掲載を回避する為の学会様としての方策、またその根拠となる基準の設定についてお教え頂きました。

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相談解決事例 - Supporter's Skill -

今回のご相談 : もしかしたら不正な投稿があるかも…?

一般向けのニュースでも取り上げられた不正論文問題から、発行ジャーナルに掲載する論文の正当性の担保について、お客様からお話しを頂く事も、少しずつ出てまいりました。
現在の学術界を取り巻く環境の中で、「基本的には不正論文を投稿する方は居ない」という思いと、それでも「対外的にはっきりと正当性を証明する必要性に迫られる」という、ジレンマが生じてしまっているかもしれません。

不正投稿に対処するには

今回は、想定される不正投稿の内容とそれに対応する不正検知ソフトについて、ご案内いたします。

【剽窃・二重投稿】

引用文献表記等で出典元を記すことなく、他者の論文を流用し、自身の論文として発表・投稿すること。また、自身の研究成果・論文であったとしても、すでに発表済みの論文を同誌・他誌に関わらず、再投稿すること。
■対応する検知ソフト:
Similarity Check(旧CrossCheck)・剽窃チェッカー・iThenticate(アイセンティケイト)

【捏造・改竄】

発見物・研究成果を意図的に作成・操作し、発表すること。図・グラフ等を編集ソフトで加工し、都合の良い形に変えてしまう事など、昨今話題になった。
■対応する検知ソフト:Pixel

【オーサーシップの偽装】

実際にその研究・論文に供与していない著者を、共著者に加えること。

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学術と共に歩んだ120年。レタープレス株式会社の歴史物語 No.4 ―活版印刷の終焉、そして新たなる挑戦―

「人が面倒がる組版」に活路を見出し「大学印刷」として新たなスタート。
西は四国・九州を含めてほとんどの国立と公立大学をカバーし近畿圏では主に京都大学を中心に仕事を受注していた。
この頃、当社の活版技術は豊富な組版材料を自前で製作し、西日本で他の追随を許さないほど高かった。
「一味違うオックスフォードルールに基づいた英文組版」と先生方からの評判も高く、地方から仕事が集まるのも自然な流れであった。
昭和41年には社屋を新築し、設備の充実も図るなど、目覚しい成長を遂げていく―。

しかし順調に成長した「大学印刷」にも少しずつ陰りが生じ始めていた。
電算写植の普及―。
それまでは高度な技術を必要とした作業を「組版ソフト」が肩代わりするようになった。デジタル化時代の到来である。

そのことにより、今までは技術力がなく参入することが出来なかった地方の一般業者に仕事が流れはじめた。同じことができるなら、地方の大学はなるべく地元の印刷会社に仕事を出したいと思うのが人情である。
次第に少なくなる活版印刷・・・。
活版技術で一時代を築いた大学印刷もデジタル化の対応に迫られていた。

「このままずっと過去の技術に縋り付いていく訳にはいかん!」

我が社の活版印刷の技術は西日本ではナンバーワンという自負があった。
長年、培ってきた技術を捨て去るのは容易な決断ではなかったが訓清とその息子、達夫が中心となり組版のデジタル化に対応するため、徐々にオフセット印刷への設備切替を進めた。

昭和58年7月、病気がちだった訓清の後を継ぎ達夫が代表取締役に就任。
昭和63年、オフセット印刷に設備を切り替えるため、より広い場所が必要になり広島県安佐北区上深川町に社屋を移転する。それに伴い活版印刷の全廃に着手する。

新たなる挑戦の始まりである―。

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新米 サポーターより - 編集後記 -

編集後記

今回紹介したCrossRefは、DOIを登録する機関の1つです。J-STAGEに雑誌を登載する時に、CrossRefまたはJaLC(ジャパンリンクセンター)でのDOI登録が選べます。
また、昨今話題の「論文のコピペ」を検出するSimilarity Check(旧CrossCheck)も、CrossRefから提供されています。有料になりますが、CrossRefに参加しているJ-STAGE登載誌はSimilarity Check(旧CrossCheck)のサービスを利用できます。

このように、J-STAGEを利用しているとCrossRefと関わる機会も多いようですが…CrossRefのサービスが多岐にわたっているため、混乱してしまいます。
サービス名と機能をしっかり覚えて、活用できるようにしていきたいです。

※CrossRefのサービス内容の一部は、弊社ホームページでも紹介しております。